(有)飯綱信号処理研究所の沿革と展望

1. 概要

設立 1995(平成7)年12月21日
資本金 300万円
住所:〒389-1212 長野県上水内郡牟礼村豊野1582−1
電話:026-253-6637
代表取締役社長 蔦野恵三
従業員数 3名
業務内容 デジタル信号処理アルゴリズムの研究・開発とその応用

2. 歩み

2.1. 陸上移動通信用16QAMモデムの研究より

2.1.1. 変調系
ルートナイキストフィルタの理論と設計
ポリフェーズフィルタの解析
プリディストーションリニアライザの研究・検証
2.1.2. 復調系
準同期検波によるクロック同期の確立及びシンボル判定のインプリメント
畳み込み符号とビタビ復号のインプリメント
最大比合成ダイバーシティのインプリメント
TDMAシステムに関する構成要素の研究
最適フレーム構成と同期・パイロットシンボルの挿入の根拠

2.2. MSK,π/4−QPSKモデムの開発より

ハミング及びBCH等ブロック符号のインプリメント
DSP向き内積・外積演算を用いた復調アルゴリズムの開発

3. 今後の研究・開発テーマ

当社はデジタル信号処理の理論研究・検証・実現の3つのプロセスを統合して推し進める。

3.1. 理論研究:

3.1.1. モデム
これまでの経緯によりQAM,PSK等スペクトル集中型の変復調アルゴリズムは守備範囲とすることができた。今後はスペクトル拡散系も取組んでいく。
3.1.2. 符号理論
ハミング距離に基礎を置いたブロック符号及び畳み込み符号は守備範囲とした。最近ではユークリッド距離に基礎を置いたウンガーベック等、符号化変調及び複数の符号を繰り返し用いるターボ符号も取組んでいる。
3.1.3. 暗号理論
秘話装置等の必要性からデータのスクランブルを行なってきたが、今後はこれに公開鍵暗号も取り入れていく。この分野は符号理論との関連が深く取っ付きやすい。
3.1.4. 適応理論
フィルタ設計やシステム設計において、古典的な線型・定常な世界から、非線型・非定常な世界への取組みがデジタル化によって可能となってきた。非線型分野としてパワーアンプの適応フィードフォワード制御を行った。最近はフィードバック方式での実現を目指している。また、非定常な分野として、適応自動等化器への応用を行いたい。

3.2. 検証:GUIシミュレータの作成

これまで、基本のアルゴリズム開発検証にはMatlabやSystemViewを用いて行ってきた。さらに、Windows95、98,2000,XP上で動作する理論検証及び検査工程の自動化GUIソフトウェアやシミュレータをC++により作成してきた。今後もこの技術は深めていきたい。
3.3. 実現:DSPソフトウェアの開発
今後も固定小数点及び浮動小数点両方のDSPソフトウェア開発を行っていく。

4. インターネットと在宅勤務

1995年は日本においてインターネットが普及し始めた年であった。この環境により、在宅でも仕事ができるようになった。とはいえフロンティアにつきものの一抹の不安もあった。それでも実際やってみると、時間の自由・思考の自由・膨大な資料調べの自由の恩恵は計り知れず、会社設立時に抱いていた不安をを払拭し余りあるものであった。在宅勤務では評価基準が成果物中心となるので、よほどのグーたらでない限り、自己管理は比較的うまく行ったが、運動不足が最大の問題となっている。